SOUTH INDIA(9)~エピローグ
2009-09-11 Fri 21:09
今回の(と言っても去年だが)インド旅行で、目に焼き付いて離れない光景が二つ。

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一つ目は、カニャークマリで。
カニャークマリは(インド人にとっても)観光地なので、観光客をあてにして当然物乞いも集まる。
15年前の北インドとは比較にならないほど少なくはなったが、それでも体の一部が欠損した物乞いさんをよく見かける。

人間には「慣れ」があるので、すぐにそういう光景は「衝撃的」なものではなくなる。

が・・・。
あるとき僕が岬の方に行こうとすると、そこには、
もう言葉で形容できない。
とにかく、躰が、四肢が、もう訳の分からない状態になった青年が一人、空き缶を置いて物乞いをしていた。
人間というのはこんな状態になっても生命活動を維持できるのかと思うほど、躰がグシャグシャにひしゃげてしまっている。

考える余地など無い。僕はすぐに小銭を彼に差し出した。

彼はこちらが怯むほどギラギラとした眼で、言葉にならない音を発してそれを受け取った。
あまりに無力化したその四肢と、血走った眼力の異様なコントラスト。
忘れられない光景となった。

彼は、とてもじゃないが自力で移動できる躰ではない。
すなわち、毎日彼をここに「据え」て、そして金を集めさせたあとに彼を「回収」する人間が存在するということだ。

彼が集めた金の何%を自分のものとできるのか、また己を「見世物」とすることを望んでいるのか否か、それはわからない。

が、とにかくそういう現実が厳然と「在る」。
彼は恐らく、今日もカニャークマリで同じ事をやって「生きている」。

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二つ目は、クイロンへ北上する際、バスから見かけた光景。
なんとはなしに、窓を開けて外をぼんやりと眺めていた。

すると前方に、埃っぽいインドの風景にあって目に沁みるほど鮮やかなショッキング・ピンクのパンジャビドレスが、

地面を・・・
這っている・・・。

最初、状況がよく分からなかった。

バスが横を通り過ぎる際、彼女の「全貌」が見えた。

彼女は、
両足が著しく未発達で(すなわち腕よりも細く短く)、
従って両手にサンダルを履き、
二本の足は「支え棒」のように使い、
人混みをかき分け、しゃかしゃかと地面を這っているのだ。
言い方が悪いのは百も承知だが、昆虫のような姿形で、灼熱の中をすごい形相で。

これまた、壮絶な彼女の「在りよう」と、涼やかで瀟洒なドレスがあまりに不一致で、強烈に心に残った。

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日本人の年間自殺者は約3万人。
その中に「彼ら」より凄惨な生を営んでいた人間は一人もいないと断じて良かろうと思う。

「悩みというのは人それぞれなんだよ!」とか、
「みんなその人なりに苦しんでるのよ!」とか、
そんな寝言はどうでもいい。

やれ「仕事をリストラされました」とか、
「人間関係がうまくいかない」とか、
「自分が何をしたいのか分からない」とか。
そんな糞みたいな理由。全部自分のせいじゃんか。
はっきり言って、笑っちゃうよ。

「生きる」ってのは、
地べたに這いつくばって、泥水飲んで、無数の理不尽や偏視眼や苦渋に耐えて、
そういうことを言うんじゃないのかね。

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彼のインドの大地で、
今日も彼らは「生きている」。

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